違法支出に係る 補助金又は追加補助金を受領した日から各年5分の割合による法定利息を支 払う義務を負うというべきである(民法703条,704条)。
第4節争点4について
第1項平成16年度補助金
15 C協会
前記のとおり,追加補助金支出額385万2045円はすべて派遣職員 人件費であり,これについて精算がなされたことを認めるに足りる証拠も ないから,全額が損害又は損失というべきであり,請求額である内金38 5万円全額を認容すべきである。
もっとも,前記のとおり,上記追加補助金の支出日は,原告らが遅延損 害金又は法定利息の起算日であるとする平成17年5月1日より後の同月 25日であるから,同日が起算日となる。
16 D協会
(ア) J
前記のとおり,補助金支出額3235万円はすべて派遣職員人件費で あるところ,証拠(甲12)によれば,そのうち,平成17年5月24 日に,446万1583円が未執行額として元金から精算されたことが 認められ,上記3235万円からこれを控除した2788万8417円 が損害又は損失というべきであり,請求額である内金2788万円(原 告らは上記精算額については請求の対象から除外している。)
全額を認 容すべきである。
(イ) L
前記のとおり,追加補助金支出額618万1220円はすべて派遣職 員人件費であり,これについて精算がなされたことを認めるに足りる証 拠もないから,全額が損害又は損失というべきであり,請求額である内 金618万円全額を認容すべきである。
もっとも,前記のとおり,上記追加補助金の支出日は,原告らが遅延 損害金又は法定利息の起算日とする平成17年5月1日より後の同月2 4日であるから,同日が起算日となるというべきである。
第2項平成17年度補助金
17 C協会
前記のとおり,補助金支出額6693万2000円のうち,派遣職員人 件費として支出された額は3524万0379円であり,上記補助金につ いて精算がなされたことを認めるに足りる証拠もないから,前記派遣職員 人件費支出予定額1301万9000円の範囲内である限り,全額が損害 又は損失というべきである。
よって,損害額又は損失額は,1301万9000円となる(なお,こ れは請求額3524万円の内金として認容すべき部分であるが,原告らは, 一定の補助金のまとまり毎に1万円未満を切り捨てて請求しているだけで あって,一部認容の場合を含めてあらゆる認容額につきかかる切り捨てを 許容する趣旨とは解されないので,この額をもって,そのまま認容するも のとする。
以下同じ。)
。
これに対する遅延損害金又は法定利息も補助金 支出(受領)日の後の平成18年5月1日から年5分発生するというべき である。
18 D協会
(ア) J
前記のとおり,補助金及び追加補助金支出額の合計8440万151 9円はすべて派遣職員人件費であり,これについて精算がなされたこと を認めるに足りる証拠もないから,全額が損害又は損失というべきであ り,請求額である内金8440万円全額を認容すべきである。
もっとも,前記のとおり,追加補助金836万9519円のうち83 6万8000円(請求から除外された1519円については原告らに不 利益とならないよう,追加補助金から減縮した。)
の支出日は,原告ら が遅延損害金又は法定利息の起算日とする平成18年5月1日より後の 同月29日であるから,同日が起算日となり,補助金7603万200 0円のみ,同月1日が起算日となる。
(イ) K
前記のとおり,補助金及び追加補助金支出額1346万1863円は すべて派遣職員人件費であり,これについて精算がなされたことを認め るに足りる証拠もないから,全額が損害又は損失というべきであり,請 求額である内金1346万円全額を認容すべきである。
もっとも,前記のとおり,追加補助金191万4863円のうち19 1万3000円(請求から除外された1863円については原告らに不 利益とならないよう,追加補助金から減縮した。)
の支出日は,原告ら が遅延損害金又は法定利息の起算日とする平成18年5月1日より後の 同月16日であるから,同日が起算日となり,補助金1154万700 0円のみ,同月1日が起算日となる。
(ウ) L
前記のとおり,補助金及び追加補助金支出額6994万2653円は すべて派遣職員人件費であり,これについて精算がなされたことを認め るに足りる証拠もないから,全額が損害又は損失というべきであり,請 求である内金6994万円全額を認容すべきである。
もっとも,前記のとおり,追加補助金434万7653円のうち43 4万5000円(な請求から除外された2653円については原告らに 不利益とならないよう,追加補助金から減縮した。)
の支出日は,原告 らが遅延損害金又は法定利息の起算日とする平成18年5月1日より後 の同月29日であるから,同日が起算日となり,補助金6559万50 00円のみ,同月1日が起算日となる。
第3項Aが神戸市に与えた損害額は,上記(1)及び(2)の合計額である。
収支報告書
本件訴訟の原告でもあるヌは,平成13年当時のL市議会議員であったネが同年度にL市から交付を受けた政務調査費について行った支出のうち,広報費(ガソリン代)としての支出(24万5000円)は政務調査費の趣旨を逸脱した違法な支出であり,L市が同額の損害を被ったと主張し,被告L市長に対し,ネ議員に対する同額の損害賠償請求又は不当利得返還請求をするよう求めるとともに,被告L市長がそのような請求をしていないことが違法であることの確認を求めて,平成15年1月27日,青森地方裁判所に対して住民訴訟を提起した(甲41,当裁判所に顕著な事実)。
青森地方裁判所は,平成16年2月24日,原告の請求を全部認容する判決を言い渡し(甲41),その控訴審である仙台高等裁判所も,同年7月29日,控訴人L市長の控訴を棄却する判決を言い渡して原審の判断を維持した(甲32)。
仙台高等裁判所は,上記判決において,「収支報告書の送付を受けた市長としては,政務調査費が使途基準に従って使用されているか否かを調査すべき職務上の義務があるというべきであり(そのように解さなければ,政務調査費の使途を定めた意味がなくなり,議員に領収書等の書類の保管義務を定めた意味もなくなってしまう。),もとより,収支報告書の記載から見てその使途に疑問を抱くべき事由がないのにあるいはおよそ使途について疑問を抱くべき事情がないのにむやみに政務調査費の使途についてその調査を行うことは,調査権の濫用であって,議員活動の自主性を尊重するという観点からも許されるべきではないが,他面,政務調査費の使途に合理的な疑問がある場合にその使途を調査するということは,およそ議員活動の自主性を尊重するということとは別次元の問題であって,それは決して議員活動に対する不当な干渉や介入ではなく,両者は矛盾衝突しないのである。」旨判示した。
第5節(1) なお,原告E,原告F及び原告Gの訴訟代理人弁護士阿部泰隆(以 下「阿部弁護士」という。)
に対する各訴訟代理権については,本訴におい て同原告らの訴訟代理人として訴訟行為を行った阿部弁護士提出の平成18 年4月5日付け「訴訟委任状」と題する書面(以下「本件書面」という。)
が存在する。
本件書面は,当初19名であった本訴の原告らの住所及び氏名 が1枚の紙に印刷文字で列記され,これに,市販の三文判と思料されるほぼ 同一の形状の印影がそれぞれ押印されているものであり,これには,原告I, 原告E,原告Fの住所(同一)に誤りがありながらそれぞれについて押印が なされているなど,当事者自身が押印しているとは到底考え難い事情があっ た(住所の誤記は後に判明した。)
。
加えて,口頭弁論終結後,原告らの1 人であるG作成名義の平成20年3月3日付け上申書が当裁判所に提出され, 同上申書には,本訴の原告となる意思はなく,阿部弁護士あての訴訟委任状 を作成した覚えもないなどと記載されていたことから,当裁判所は,阿部弁 護士の訴訟代理権の存在を確認するのを相当と判断し,同弁護士に対し,口 頭弁論期日に出頭していなかった原告らについて,改めて実印を押捺した委 任状及び印鑑登録証明書を提出するよう求めたところ,原告E,原告F,原 告Gについては遂にこれが提出されず,また,同原告ら本人が直接裁判所に 出頭して委任の意思を明らかにすることなどもなされなかったが,委任状を 提出できない合理的事情を窺わせる資料の提出等はない。
さらに,記録によ ると,阿部弁護士は,自らは原告らからの委任に当たって原告ら本人の意思 確認をしてはおらず,これを特定の原告に取りまとめさせていたが,その原 告は,他の原告ら各自から個別的に訴訟委任の意思を確認していない場合が あり,委任状に押捺した印鑑もすべてその特定原告が所持している三文判を 同原告が押捺したことが窺える。
また,後記のとおり,原告らのうち2名は 訴訟係属後に死亡していたにもかかわらず,阿部弁護士からは,弁論終結に 至るまでその旨の報告は全くなく,終結後に当裁判所から上記訴訟代理権の 有無についての照会を受けた後に初めて死亡の事実を明らかにしたところか らすると,阿部弁護士自身,その死亡の事実を全く知らなかったものと推認 され,特定の原告を通じてであれ当初からの各原告らとの意思疎通自体の有 無が疑われてもやむを得ない。
これらの点からすると,原告E,原告F,原 告Gについては,本件書面の同原告ら作成部分の真正な成立を認めるのは困 難であり,阿部弁護士は,「訴訟行為をするのに必要な授権があることを証 明することができず,かつ,追認を得ることができなかった」(民事訴訟法 69条2項)といえるから,同原告らの本件各訴えは不適法であるといわざ るを得ず,これに係る訴訟費用の負担については,同法70条を適用して, 主文4項掲記のとおり,その一部を阿部弁護士の負担とすべきである。
この点,阿部弁護士は,印鑑登録証明書を取得するにも費用はかかる,実 印を押すことに躊躇する当事者もいる,本件のような意思確認の方法も集団 訴訟においてはよく見られることである,訴訟提起時においては委任の意思 があったにもかかわらず訴訟係属中に心変わりをする当事者も多い,などと るる主張するが,これらの事情は,訴訟代理権の証明と直接関係せず,訴訟 代理権の証明を不要とする理由にもならないし(なお,当裁判所は,原告ら の負担も考慮し,公証人等の認証(民事訴訟規則23条2項)によらなくと も,より安価で簡易な方法として印鑑登録証明書等の提出で足りるものとし た。)
,原告らの訴訟係属中の心変わりであることを窺わせる徴表も全くな いのであるから,かかる点に関する阿部弁護士の主張を採用することはでき ない。
(2) 他方で,記録によれば,原告N及び同Oは本訴係属後に死亡したので, 本訴が住民訴訟である性格上,上記2名の原告らの本件各訴えは,当然に終 了したこととなる。
第4 結論 以上の次第で,原告E,原告F及び原告Gの本件各訴えはいずれも不適法であ るから却下し,その余の原告らの請求は主文2項(1)ないし(3)掲記の限度で理由 があるからその限度で認容し,その余の請求はいずれも理由がないから棄却する こととし,主文のとおり判決する。
第3 当裁判所の判断
1 被告病院における診療経過
前記前提事実に加え,証拠(各認定事実の後に掲記する。)
及び弁論の全趣 旨によれば,原告Aの診療経過について,以下の事実を認めることができる。
(1)被告病院入院に至る診療経過
ア原告Aは,3月中旬ころから,左腕のしびれ,視力障害,後頭部痛,側 頭部痛等の症状が一過性に繰り返し出るようになり,3月下旬には左顎関 節痛,4月20日ころには左前腕及び左頬部から口唇にかけてのしびれに 加え,呂律が回りにくくなる等の症状が発現した。
イ原告Aは,4月24日,E病院を受診し,頭部MRI検査,MRA検査, 頸椎MRI検査等を受けた。
検査の結果,原告Aの両側半卵円を中心に2 ないし4ミリメートルの高信号を示す小斑の散在が見られ,E病院の担当 医師は,多発性硬化症を最も疑った。
ウ原告Aは,4月25日,F病院においても診察を受け,担当医師から多 発性硬化症は考えにくく,脳梗塞や悪性リンパ腫等が考えられるのではな いかという指摘を受けた。
エ5月8日,原告Aは,左前腕等のしびれ,視力低下,頭痛等を訴えて, 被告病院の神経内科を受診した。
同日,原告Aには特段の神経学的異常所 見は認められず,N医師は,血管腫か多発性硬化症を疑い,外来診療でV EP(視覚誘発電位),造影MRI検査による精査を実施する予定とした。
オ5月9日午前2時ころ,原告Aには,覚醒した際,右膝上部及び右上腕 からそれぞれ末梢にかけてのしびれと,右上下肢の脱力が見られた。
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